#01

 色々あって、いま東京から離れたところで寮付きの仕事にありつき、週五で倉庫内を荷物持って動きまわる系の作業を夜勤でやっているわけなんだ、11月30日からね。最初の方の有様といったらひどいもんで、まずインターネットもねえし、テレビもねえ、ラジオもねえ……ってほどじゃないけどまあクソ田舎なもんで自炊するための、なんつうの、機材……? ちげえな、台所用品みたいなもんもないからカップ麺でも食うかと思ったらまずお湯を沸かすための鍋とかがなくて、途方にくれてたわけだ。なんとかレンジでパスタを茹でる例のアレなどを入手し、暇だ暇だわめきながらスマートフォンをいじってたんだよね。
 でも数日前にようやく、UQWimaxさんによって、ネット開通とあいなりまして、まあ快適ではないにしろゲームやら、お笑い動画やら見れるようになって、ようやっと一安心ってな感じですね。
 労働日記は前一度挫折してるし、ちょっとポエティックになりすぎたきらいがあるので、労働内容それ自体ってよりは、日々考えたことなどを書いていこうと思う。

 ここに到着した日ってのはスゴかった。よくわかんないが謎のカラオケ店に連れて行かれ、そこで仕事の説明をされ、大きめの車に乗せられて寮まで運ばれてる間、おいおい、闇金ウシジマくんみたいになってきたぞ、オレはうしじまいい肉にブロックされてるけどな、別にうしじまいい肉の悪口を言ったことはないはずなんだけどな、ちょっと怖いとは確かに思うけど、別に嫌いとかじゃないし、まあなんかちょっと怖いって思ってる部分が、ちょっと表に出てしまって、それが彼女の気に触ってしまったのだろうなあ、ブロックをわざわざさせてしまって申し訳がないなあ、平穏な生活のなかで少し、心にささくれを立たせてしまったのなら、本当に申し訳がないことであるなあ、などと考えてた。
 程なくして仕事が始まり、29のオレが『若い』とか言われるような年齢層の人に囲まれて、ものを運んでいる。
 ここにいる人たちってのは、みーんな、なんちゅうの、事情がある方々だ。休憩時に喫煙所でタバコを吸えば、上司の悪口や、アイツが態度悪い、残業をすればいくら貰える、いくら貰えるだけでは辛いな、もっと貰いたいな、などという、まあぶっちゃけこの世で最も無意味な言語の使い方をしている。現状を悲観し、食いつなぐ中で、イライラしたりっていう目の前のことしか見えていない。
 別にバカにしてるわけじゃない。その人達はその人達なりの賢さでもって生きている。派遣元の人間にかけあって雨具をもらったり、一、二分、休憩に早く入ってみたり、そういう知恵を持っている。
 バレずに溜飲を下げてみたり、悪目立ちせずにサボってみたり、分のいい残業をして、短時間でより多く稼いでみたり、そういうふうなことに頭を使っている。それは、結局、ここでは一番役に立つことだからだ。
 一番役に立たないのは、長期的な目線とか、国政を憂う態度とか、そーいうマスなものの見方だ。オレは根っからのインターネットっ子なので、彼らのことを俯瞰して見てしまいがちだが、そんなことをしても役に立たない。誰もが誰もをモブと思って生きている。オレだってモブだしな。


 でもこーやってここで色々考えてみるってのは別に悪いことじゃない。部屋だって綺麗だし、食堂の飯だって、まあ悪くはない。仕事内容はモクモクとやってれば問題ないもので、何より、誰とも口をきかないでいいってのが、まあ性にあってる。オレは孤立を恐れていないから、決して負けないんだ。

 ここにいて一番問題になるのは、なんか日々エモーションが死んでいってる感じがすることだ。
 嬉しかったり悲しかったりあんまりしない。もちろん面白かったりもしなけりゃ、心動かされることってのがない。
 人間生きていく上で「感情の問題」ってのはすごいプライオリティが低くて、まず生存せねばならないわけであって、現代においては基本的には働かないと生存できないので「労働の問題」とか「カネの問題」ってのが常に感情の問題より上位にある。感情の問題にリソースをさける人間ってのは、上位問題が解決されているか、ちゃらんぽらんかどちらかだ。俺は基本的に後者だったのだが、働き出したことで上位問題が産まれ、感情の問題にどんどん鈍感になっていくみたいだ。
 音楽とかってのはこういう時に本当に役に立たない。いや、もしかしたら立つのかもしれないんだけど、オレにはその方法がわからないな。。